新居歩美という人

矮小な人間であるがゆえ、平素は自分と他人を比べ、一つでも優っている(と思える)部分を見つけると手を叩いて喜ぶような人生を送っている。器の小ささだけは誰にも劣らないと言い換えることができよう。

 

 

 

 

が、時たま「この人には敵わない」と思わざるを得ない人間と出会う。そんな人と遭遇するやいなやたちまち運命だと舞い上がり、かの人への憧れに頭が埋め尽くされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年の運命の出会いは、新居歩美だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

透き通るような白い肌、色素が薄くてうるうるとした瞳、神からの授かり物としか思えないほど艶やかな黒髪。自分が受けているオーディションの面々の中に彼女を見つけた私は思った。あ、これ無理ゲーやん。

 

 

 

 

 

キャンディ・キャンディ』という漫画をご存知だろうか。新居歩美のビジュアルは、作中きっての美少女アニーを彷彿とさせる。とにかく守ってあげたい感が異常なのである。

 

 

 

 

 

 

彼女がビジュアルだけの女の子であればこんなに好きにはなっていない。むしろ、彼女の魅力の本質は内面にこそあると感じる。

 

 

 

 

 

最初に驚いたのは配信での切り返しのうまさだった。オーディション開始当初から圧倒的な人気を誇った彼女の配信には多くの人が訪れ、多くのコメントで溢れていた。彼女は当時16歳ながらそれらをうまく捌き、かつ真摯に、楽しそうに画面越しのファンと接していた。

言語センスも独特である。「ウバフレ」を最初に聞いたときはその語感の良さに舌を巻いたものである。

 

 

 

 

本当に彼女のことが好きになったのは、オーディション期間中のステージ審査でのことであった。

ほんとに私音痴なんよ、と始まる前に苦笑いしていた彼女がステージに上がった途端、がらりと空気が変わった。『白い雪のプリンセスは』のイントロに合わせてひらひらと舞う彼女に私は目が釘付けになった。歌が上手いとかダンスが上手いとか、関係なしに新居歩美はステージが似合う女の子だと、そのとき感じたのだ。

 

 

 

 

舞台を降りた彼女は持ち前の人懐っこさで違和感なく皆の中心に収まった。のちの最終合宿審査でも感じたことだが、彼女は人付き合いにおいても天賦の才があるのではないか。いつでも気がついたら彼女を中心に輪が生まれていた、ような気がする。

 

 

 

 

彼女はアニーではなかった。天真爛漫で人を惹きつけてやまない『キャンディ・キャンディ』の主人公、キャンディであった。

自分は新居歩美を主人公とした物語の脇役であると言われても納得してしまいそうなほどに彼女は「主人公」なのである。

 

 

 

新居歩美はその後アキシブprojectのメンバーとしてデビューし、先日早くもTwitterのフォロワー数1万人を達成した。留まるところを知らない勢いで躍進し続ける彼女を、これからもひっそりと見守っていければと思う。

 

新居歩美💌アキシブproject新メンバー(@aksb_nii)さん | Twitter